[제 목] 센과 치히로의 행방불명
[장 르] 애니메이션, 어드벤쳐, 판타지
[감 독] 미야자키 하야오
千(せん)と千尋(ちひろ)の神隠し(かみかくし)
監督: 宮崎 駿
千尋。千尋。
もうすぐだよ。
やっぱり田舍(いなか)ねえ。
買い物(かいもの)は隣町(となり)に行くしかなさそうね。
住んで都にするしかないさ。
ほら、あれが小學校だよ。
千尋、新しい學校だよ。
結構(けっこう)きれいな學校じゃない。
前の方がいいもん。
あ… ああー。
お母(かあ)さん、お花しおれてっちゃった。
あなた ず-っと握(にぎ)りしめてるんだもの。
お家(うち)についたら水切り(水切り)すれば大丈夫(だいじょうぶ)よ。
初めてもらった花束が。
お別れの花束なんて悲しい…。
あらっ。この前のお誕生日にバラの花をもらったじゃない。
一本ね。
一本じゃ花束って言えないわ。
カ-ドが落ちたわ。 窓(まど)開けるわよ。
もうちゃんとしてちょうだい。
今日は忙(いそが)しいんだから。
あれ。道をまちえたかな。
おかしいなあ…。
あそこじゃない。 ほらっ。
ん。
あの隅(すみ)の靑い家でしょう。
あれだ。
一本下の道を來ちゃったんだな。
このまま行って 行(い)けないかな。
やめてよ。
そうやっていつも迷(まよ)っちゃうんだから。
ちょっとだけ、ねっ。
あの家(うち)みたいの何。
石のほこら。神樣(さま)のお家(うち)よ
お父(とう)さん。大丈夫(だいじょうぶ)。
まかせとけ。この車は四驅(よんく)だぞ。
千尋。座(すね)ってなさい。
ワッ。ワッ。ワッ。アアーッ
あなた、いいかげんにして。
トンネルだ。
(ブレーキの音)
なあに。この建物(たてもの)。
門みたいだね。
あなた、戻(もど)りましょう、あなた。
千尋。
もう。
何(なん)だ、モルタル製(せい)か。
結構(けっこう)新しい建物(たてもの)だよ。
(かすかに風(かぜ)の音(いん))
あっ。
風を吸いこんでる。
なあに。
ちょっと行ってみない。
向こう(むこう)へ拔(ぬ)けられるんだ。
ここいやだ。戻(もど)ろう お父(とう)さん。
なんだ。恐(こわ)がりだな 千尋は。
ねっ、ちょっとだけ。
引っ越しセンタ-のトラックが來ちゃうわよ。
平氣だよ、鍵(かぎ)は渡し(わたし)てあるし。
全部やってくれるんだろう。
そりゃそうだけど。
いやだ。私(わたし)行かないよ。
戻(もど)ろうよ、お父(とう)さん。
おいで、平氣だよ。
私(わたし) 行かない。
うっ… あっ。
千尋は車の中で待(ま)ってなさい。
お母(かあ)さーん。 待って(まって)。
足下(あしもと) 氣をつけな。
千尋、そんなにくっつかないでよ。
歩(ある)きにくいわ。
ここどこ。
あっ。ほら 聞こえる。
ん。
(遠(とお)くの電車の音)
電車の音。
案外(あんがい) 驛が近いのかもしれないね。
行(い)こう、すぐわかるさ。
こんなとこに家がある。
やっぱり 間違い(間違い)ないな。
テ-マパ-クの殘骸(ざんがい)だよ、これ。
90年頃(ごろ)に あっちこっちで たくさん計画(けいかく)されてさ。
バブルがはじけて みんな潰(ぶ)れちゃったんだ。
これもその一つ(ひとつ)だよ、きっと。
えー、まだ行(い)くの。
お父(とう)さん、もう歸ろうよ。
ねえーっ。
(風(かぜ)の音)
お母(かあ)さん、あの建物うなってるよ。
風(かぜ)鳴(な)りでしょ。
氣持ちいいとこねえ。
車の中のサンドイッチ 持ってくれば良(よ)かった。
川を作ろうとしたんだね-。
ふん。
なんか におわない。
ほら、うまそうなにおいがする。
あら、ほんとね。
(案外)まだやってるのかもしれないよ、ここ。
千尋、早(はや)くしなさい。
待(ま)ってー。
こっちだ。
あきれた。これ全部(ぜんぶ)食(た)べ物(もの)屋(や)よ。
誰(だれ)もいないね-。
ん。 あそこだ。
おーい、おーい。
ああー うん あー
こっち こっち。
わぁ、すごいわね。
すみませーん、どなたかいませんかー。
千尋もおいで、おいしそうよ。
すいませーん。
いいわよ。
そのうち來たらお金払え(はらえ)ばいいんだから。
そうだな。
そっちにいいやつが……。
これ なんていう鳥かしら。
おいしい。
千尋、すっごくおいしいよ。
いらない。
ねえ歸ろう、お店の人に怒(おこ)られるよ。
大丈夫、お父さんがついてるんだから。
カ-ドも財布(さいふ)も持ってるし。
千尋も食べな。骨(ほね)まで柔(やわ)らかいよ。
芥子(からし)。
ありがとう。
お母(かぁ)さん、お父(とぅ)さん。。
……
変(へん)なの。
電車だ。
ハッ…
ここへ來てはいけない。 すぐ戻(もど)れ。
えっ。
じきに夜になる。 その前に早く戻(もど)れ。
もう明(あ)かりが入(はい)った、 急いで。
私が時間を稼(かせ)ぐ、川の向こうへ走れ。
(電流(でんりゅう)が入る音)
なによ あいつ。
お父(とう)さん。
お父(とう)さん 帰(かえ)ろう。
帰ろう お父さん
ハーッ。
(バシッ。 バシッ。)
(ブヒィー)
ウワーッ キャーッ。
お父さーん
お母さーん
お母さーん
キャーッ。
(水(みず)が流(なが)れる音(いん))
水(みず)だ。
うそ……。
夢(ゆめ)だ。 夢だ。
覺(さ)めろ。 覺めろ。 覺めろ。
覺めて
これは夢だ、夢だ。
みんな消えろ、消えろ。
消えろ。
ああっ。
透(す)けてる。
ああ。
夢だ、絶對(ぜったい)夢だ。
(フェリーの接岸音(せつがんおん))
ギャーッ。
ハーッ。
怖(こわ)がるな。私(わたし)はそなたの味方(みかた)だ。
イヤ イヤ イヤ
口を開けて、これを早く。
この世界のものを食べないと。
そなたは消えてしまう。
イヤ。
あっ。
大丈夫。
食べても豚(ぶた)にはならない。
かんで飮みなさい。
いい子だ。 もう大丈夫。
觸(さわ)ってごらん。
ね… さっ おいで
お父さんとお母さんは。 どこ。
豚なんかになってないよね。
今(いま)は無理(むり)だが 必(かなら)ず會(あ)えるよ。
靜(しず)かに。
そなたを搜(さが)しているのだ。
時間がない、走ろう。
ああ 立てない、どうしよう。
力が入んない。
落ち着いて(おちついて)、深(ふか)く息を吸ってごらん。
そなたの 内(うち)なる風と水の名において
解(と)き放(はな)て
立(た)って。
あ。 ああ。
橋を渡(わた)る間、息をしてはいけないよ。
ちょっとでも吸ったり吐(は)いたりすると。
術(じゅつ)が解(とけ)て店の者に氣づかれてしまう。
こわい。
心を鎭(しず)めて。
いらっしゃいませ。お早いお着(つ)きで。
いらっしゃいませ。いらっしゃいませ。
所用(しょよう)からの戻(もど)りだ。
ヘイ、お戻(もど)り下(くだ)さいませ。
深く吸って…
止めて。
いらっしゃーい。
お待ちしてましたよ。
しっかり。もう少し…
ハク樣(さま)ー。
何處(どこ)へ行(い)っておったあ。
アッ。 ソグ…
ゲッ 人(ひと)か。
走れ。
あれっ
グッ ゲッ
ハク樣、ハク樣。
エエイ におぬわか、人が入りこんだぞ。
人くさいぞ 人くさいぞ。
感(かん)づかれたな。
ごめん、私 息しちゃった
いや、千尋はよく頑張った(がんばった)。
これからどうするか話(はな)すから よくお聞き。
ここにいては必ず見つかる。
私が行って誤魔化(ごまか)すから。
そのすきに千尋はここを拔け出して……
イヤッ 行かないで。
ここにいて、お願(ねが)い。
この世界で生き延(の)びるためには そうするしかないんだ。
ご兩親(りょうしん)を助(だす)けるためにも。
やっぱり豚になったの 夢じゃないんだ。
ジッとして
騷(さわ)ぎが收(しず)まったら、
裏(うら)のくぐり 戸(と)から出られる。
外の階段を一番下まで下(お)りるんだ。
そこにボイラー室の入口がある。
火を焚(た)く所(ところ)だ。
中にカマジイという人がいるから、
カマジイに會うんだ。
カマジイ。
その人に ここで働き(はたらき)たいって頼む(たのむ)んた。
斷(ことわ)られても、粘る(ねばる)んだよ。
ここでは 仕事を持たない者は、
湯バーバに動物にされてしまう。
湯バーバって。
会(あ)えばすぐに分(わ)かる。
ここを支配(しはい)している魔女(まじょ)だ。
イヤだとか、帰りたいとか。
言わせるように仕向けて(しむけて)くるけど、
働き(はたらき)たいってだけ言うんだ。
つらくても、たえて機会(きかい)を待つんだよ。
そうすれば、湯バーバも手が出せない。
うん……
行かなければ
忘(わす)れないで 私は千尋の味方(みかた)だからね。
どうして私の名を知ってるの。
そなたの小さい時(とき)から知っている。
私の名は ハクだ。
ハクはここにいるぞ。
ハク樣、湯バーバさまが……
分(わ)かっている。そのことで外へ出ていた。
イヤッ。
ハア ハア ハア
キャッ イアァ イヤーッ。
イヤーッ。
頼(たの)むよ。
…
(温気(おんき)が吹(ふ)き出(だ)る音)
(ふろがまがジュージュー鳴(めい)る音)
(チーン)
アチッ
ハァ…
あっ あの…
すみません。
ゴクゴク
あ、あの…
あの カマジイ さんですか。
ん。
ん ん…。
あの、ハクという人に言われてきました。
ここで働(はたら)かせて下(くだ)さい。
(チリリーン)
んん…
エーイ こんなに一度に
チビども、仕事だ
(カン カン カン カン)
わしゃあ、カマジイだ。
フロガマにこき使(つか)われとるジジイだ。
チビども、早くせんか。
あの、ここで働かせて下さい。
手は足(だ)りとる。
そこら中 ススだらけだからな。
いくらでも 代わりはおるわい。
キィ キィ キィ
あっ、ごめんなさい。
キィ キィ キィ
ちょっと待って。
じゃま じゃま。
(チン チン チン)
ハッ。
キィ キィ キィ
ウッ
ど どうするの これ。
ここに置(お)いといていいの。
手ェ出すなら しまいまでやれ。
よしっ…
キィ キィ キィ
キィ キィ キィ キィ キィ キィ
こらー、チビども
ただのススに戻(もど)りたいのか。
あんたも氣まぐれに手ぇ出して、
人の仕事を取(と)っちゃならねえ。
働(はたら)かなきゃな、
こいつらの魔法(まほう)は消えちまうんだ。
ここにあんたの仕事はねぇ、他をあたってくれ。
ギイ ギイ ギイ
なんだお前達(まえたち)、文句(もんく)があるのか。
仕事しろ 仕事
メシだよ。
なんだ またケンカしてんの。
オ… オ…
よしなさいよ もう 器(うつわ)は。
オッ… オウ…
ちゃんと出しといてって言ってるのに。
メシだ、休(きゅう)けーい。
キイキイキイ
うわーっ。
人間がいろじゃん。 やばいよ、
さっき上で大さわぎしてたんだよ
わしの孫(まご)だ。
孫(まご)ー。
働き(はたらき)たいと言うんだが、
ここは手が足りとる。
おめえ、湯バーバのとこへ連(つ)れてってくれねえか
後(あと)は自分でやるだろう。
やなこった。 あたいが殺されちまうよ
これでどうだ。
イモリの黑燒き(くろやき)。上物(じょうもの)だぞ。
どのみち働くには 湯バーバと契約(けいやく)せにゃならん。
自分で行って、運を試(ため)しな。
チェッ そこの子、ついて來な。
あ…
わっ
あんたね、ハイとかお世話(せわ)になりますとか 言えないの。
あ、はい。
ドンくさいね。早くおいで。
はい。
靴(くつ)なんか持ってどうすんのさ。
靴(くつ)下も。
はい。
あんた カマジイに 礼言(れいい)ったの。
世話になったんだろう。
ウッ…
ありがとうございました。
グッドラック。
湯バーバは建物(たてもの)のテッペンのその奧にいるんだ。
早くしろよ。
あっ…
鼻(はな)がなくなるよ。
…
もう一回乘り継(つ)ぐからね。
はい。
着(つ)くよ。
い、いらっしゃいませ。
ウー
お客さま、このエレベーターは上へは參(まい)りません。
他をお探(さが)して下(くだ)さい。
ついて来(く)る。
キョロキョロすんじゃないよ。
到着(とうちゃく)でございます。
右手のお座敷(ざしき)でございます。
ん。 リン
はーい。
なんかにおわぬか。
人間だ、お前(まえ)人間くさいぞ。
そうですかあ。
におう におう うまそうなにおいだ。
お前 なんか隠(かく)しておるな。
正直に申(もう)せ。
このにおいでしょう。
クロヤキ…
くれーっ。
やなこった。
お姉さま方に賴(たの)まれてんだよ。
賴(たの)む、ちょっとだけ、せめて足一本。
上へ行くお客さま。
レバーをお引き下さい。
ウー
アッ。
ハァッ。
ノックもしないのかい。
まあ、みっともない娘が來たもんだね。
さあ、おいで。
おいでな。
あ。。
ワアッ
ワアッ
いたい…
オイ オイ オイ
ヒャーッ。
うるさいねえ、靜かにしておくれ。
オイ オイ オイ
ウワッ。
あの…
ここで働かせて下さい。
(口(くち)がしまる音(おん))
馬鹿(ばか)なおしゃべりはやめとくれ。
そんなひょろひょろに何が出來(でき)るのさ。
ここはね、人間の來る所(ところ)じゃないんだ。
八百万(やおよろず)の神樣達(さまたち)が
疲(つか)れをいやしに來るお湯屋(ゆや)なんだよ。
それなのに お前の親はなんだい。
お客さまの食べ物を豚のように食い散(ち)らして。
當然の報(むく)いさ。
おまえも元の世界には戻(もど)れないよ。
子豚(こぶた)にしてやろう… あっ
石炭(せきたん)という手もあるね。
ハハハハハッ…、震(ふる)えているね。
でもまあ、良(よ)くここまでやって来(き)たよ。
誰(だれ)かが親切(しんせつ)に世話を燒いたんだね。
譽(ほ)めてやらなきゃ。
誰(だれ)だいそれは 敎えておくれな。
ここで働かせて下さい。
まだそれを言うのかい。
ここで働きたいんです。
だまれー。
なんであたしが、
おまえを雇(やと)わなきゃならないんだい。
見るからにグズで甘ったれで泣き虫(ちゅう)で。
頭の惡い小娘に、仕事なんかあるもんかね。
お斷(ことわ)りだね。
これ以上穀潰(ごくつぶ)しを增やしてどうしろっていうんだい。
それとも、一番つらーい きつーい仕事を
死ぬまでやらせてやろうか
ハッ。
アダー
ああ やめなさい どうしたの えっ…
今すぐ行くから いい子でいなさいね。
まだいたのかい。 さっさと出て行(い)きな。
ここで働きたいんです。
大きな聲を出すんじゃないよ。
ああ、ちょっと待ちなさい、ねっ、ねっ。
いい子だから、ほらほら。
働かせてください。
わかったから靜(しず)かにしておくれ。
ああ よしよし
契約書(けいやくしょ)だよ。
そこに名前を書きな。
働かせてやる。
その代(か)わりりイヤだとか、
帰りたいとか言ったらすぐ子豚(こぶだ)にしてやるからね。
あの、名前ってここですか。
そうだよも、もうぐずぐずしないで さっさと書きな。
まったく
(チリリーン)
つまらない誓(ちか)いをたてちまったもんだよ。
働きたい者には仕事をやるだなんて。
バッ
書いたかい。
はい あっ…
ふん。千尋というのかい。
はい。
贅澤(ぜいたく)な名だね。
今から おまえの名前は千(せん)だ。
いいかい千だよ。
分(わ)かったら返事をするんだ、千。
は… はい
お呼(よ)びですか。
今日からその子が働くよ。世話をしな。
はい。
名はなんという。
え…。 ち… あっ… 千です。
では千、來なさい。
ハク。あの…
むだ口(くち)をきくな。私のことはハク樣と呼べ。
いくら湯バーバさまのおっしゃりでも、それは…
人間は困(こま)ります。
すでに契約(けいやく)されたのだ。
なんと…
よろしくお願(ねが)いします。
あたしらの所(とこ)へは寄(よ)こさないどくれ。
ひとくさくてかなわんわ。
ここの物(もの)を三日も食べればにおいは消えよう。
それで使い物にならなければ、
燒こうが煮ようが 好きにするがいい。
仕事に戻(もど)れ。 リンは何處(どこ)だ。
エーッ。 あたいに押しつけんのかよ。
手下をほしがっていたな。
そうそうリンが適役(てきやく)だぞ。
エーッ。
千、行け。
はい。
やってらんねえよ。
うめ合わせはしてもらうからね。
はよ 行(い)け。
フンッ。
來いよ。
お前(まえ)、うまくやったなあ。
お前(まえ)トロイからさ、心配(しんぱい)してたんだ。
油斷(ゆだん)するなよ、
わからない事(こと)はオレに聞け。な。
うん…
うん どうした。
足がフラフラするの。
ここがおれたちの部屋だよ。
食って寢(ね)りゃ元氣になるさ。
前掛(はらか)け。自分で洗うんだよ。
はかま。 チビだからな。
でかいな…
リンさん、あの…
なに。
ここにハクっていう人(ひと) 二人いるの。
二人(ふたり)ー。
あんなの二人もいたら たまんないよ。
だめか。
あいつは湯バーバの手先だから 氣をつけな。
おかしいなあ。
ウ… ウ…
あー あった あった
あっ おい どうしたんだよ。
しっかりしろよ。
うるさいなー。何(なん)だよ リン。
氣持ち惡いんだって新入り(しんいり)だよ。
オイ
オイ オイ オイ…
(障子(しょうじ)の開(あ)く音)
(足(あし)音)
(近(ちか)づいてくる足音)
橋(はし)の所へおいでお父さんとお母さんに合わせてあげる。
(障子の閉(し)まる音)
あっ。
靴(くつ)がない。
ああ…
ありがとう。
(電車(でんしゃ)の音)
あっ。
おいで。
お父さん お母さん 私は…
あっ… セ センよ。
お母さん お父さん。
病氣かな、ケガしてる。
いや お腹(なか)が一杯(いっぱい)で寢(ね)ているんだよ。
人間だったことは今は忘れている。
お父さん お母さん
きっと助けてあげるから、
あんまり太っちゃだめだよ、
食べられちゃうからね。
これは隱(かく)しておきな。
捨(す)てられたかと思ってた。
帰る時(とき)にいるだろう。
これ、お別れにもらったカ-ド。
ちひろ。 ちひろって… 私の名だわ。
湯バーバは相手の名を奪(うば)って支配(しはい)するんだ。
いつもは千でいて、
本當の名前はしっかり隱(かく)しておくんだよ。
私、もう取られかけてた。
千になりかけてたもん。
名を奪(うば)われると、
帰り道が分からなくなるんだよ。
私はどうしても思い出せ ないんだ。
ハクの本当(ほんとう)の名前。
でも不思議(ふしぎ)だね。千尋のことは学(がく)えていた。
お食べ、ご飯(はん)を食べてなかったろう。
食べたくない。
千尋の元氣が出るように呪い(まじない)をかけて作ったんだ。
お食べ。
ウワーッ エッ エッ エッ
つらかったろう。さっ、お食べ。
ひとりで戻(もど)れるね。
うん ハクありがとう、私がんばるね。
うん。
ああっ…
(雷(かみなり)の音)
わぁっ。
どこへ行(い)ってたんだよ。心配(しんぱい)してたんだぞ。
ごめんなさい。
じゃまだねえ。
うわっ
ウッ。 ウッ。
千、もっと力(ちから)はいんないの。
リンと千、今日(きょう)から大湯番(おおゆばん)だ。
あれは蛙(カエル)の仕事(しごと)だろう。
上役(うわやく)の命令(めいれい)だ。
骨身(ほねみ)を惜(お)しむなよ。
あの、そこ濡(ぬ)れませんか。
千、早(はや)くしろよ。
はーい。
ここ、開(あ)けときますね。
リン、大湯(おおゆ)だって。
ほっとけ。
ひでえ、ずーつと洗(あら)ってないぞ これ。
クックックッ
わっ。
ここの風呂(ふろ)はさ、汚(よご)れたお客専門(せんもん)なんだよ。
こびりついてて取(と)れやしねえ。
リン、千。一番(いちばん)客(ぎゃく)が來(き)ちまうぞ。
はーい 今(いま)すぐ。
チェッ、見(み)えすいたイビリしやがって。
一回(いっかい)藥湯(くすりゆ)入(い)れなきゃだえだ。
千、番台(ばんだい)へ行(い)って札(ふだ)をもらって来な。
ふだ。
藥湯(くすりゆ)の札(ふだ)だよ。
はーい。
リンさん、番台(ばんだい)ってなに。
うん なんだろうね。何(なん)か來(き)たね。
雨(あめ)に紛(まぎ)れてロクでもないものが紛(まぎ)れこんだかな。
そんなもったいないことが出來(でき)るか。
おはようございます。
良(よ)くお休(やす)みになられましたか。
かすがさま。
はい、硫黄(いおう)の上(じょう)。
いつまでいたって同(おな)じだ、戻(もど)れ 戻れ
手(て)でこすればいいんだ。
おはようございます。
手(て)を使(つか)え 手(て)を
でも…、あの…、
藥湯(くすりゆ)じゃないと だめだそうです。
わからんやつだな。
あっ、よもぎ湯(ゆ)ですね。
どうぞ ごゆっくり…
あっ。
(電話(でんわ)のベル)
はい 番台(ばんだい)です。
あっ、はい… ウァっ。
あっ。 ありがとうございます。
ああ、違(ちが)う。
こら 待(ま)て、おい。
どうしたんだい。
いえ、なんでもありません。
なにか入(はい)りこんでいるよ。
人間(にんげん)ですか。
それを調(しら)べるんだ。
今日(きょう)は ハクがいないからね。
へえー ずい分(ぶん)いいのくれたじゃん。
これがさ、カマジイのとこへ行(い)くんだ。
混(こ)んでないからすぐ來るよきっと。
これを引(ひ)けばお湯(ゆ)が出(で)る。やってみな。
わっ。
千って ほんとドジな。
わーっ、すごい色(いろ)。
こいつにはさ、
ミミズの干物(ひもの)が入(はい)ってるんだ。
こんだけ濁(にご)ってりゃこすらなくても同じだな。
いっぱいになったら もう一回(いっかい)引(ひ)きな、
止(と)まるから。
もう 放(はな)して大丈夫(だいじょうぶ)だよ。
おれ 朝飯(あさめし)取(と)ってくんな。
はーい。
あっ。
ウワッ
いたい。
あの…、おフロまだなんです。
こんなにたくさん…
ウ… ウ…
え…、私にくれるの。
ア…、ア…
あの… それ…、そんなにいらない。
ア…。
だめよ。ひとつでいいの。
ア…。
奧樣(おくさま)。
クサレ神(かみ)だって。。
それも特大(とくだい)のオクサレさまです。
まっすぐ橋(はし)へ向(む)かって来(き)ます。
お歸り下さい。 お引き取り下さい。
お歸り下さい。 どうかお引き取り下さい。
お歸り下さい。 お引き取り下さい。
ク… サ… イ…
ウーン おかしいねェ。
クサレ神の氣配(けはい)じゃなかったんだが
來ちまったものは仕方(しかた)がない。お迎(むか)えしな。
こうなったら出來(でき)るだけ早く
引(ひ)き取(と)ってもらうしかないよ。
オクサレさまです。 お早く お早く
リンと千、湯バーバ樣がお呼(よ)びだ。
ハッ はい。
いいかい、 お前(まえ)の初仕事(はつしごと)だ。
これから來るお客を大湯(おおゆ)で世話(せわ)するんだよ。
あ、あの…
四(し)の五(ご)の言うと、石炭(せきたん)にしちまうよ。
わかったね。
み、見えました。
(ベチョ ドロロ コボッ)
ウッ
おやめ。 お客さんに失礼(しつれい)だよ。
(カポッ ベトッ ブチャ)
ヨク オコヒクダサビマヒタ…
(ムニュ ベチョ ブチョ)
ア… お金(かね)…
せん… ハャクオウケトリナ
ハ ハイ
(ベチョーッ)
ウーッ。
ナニヒテルンダイ
ハヤクゴアンナイヒナ
ド ドウゾ
(グチョ グチョ メボ)
セーン。
ウー ひでえ…
めしが。
窓(まど)をお開(あ)け。 全部(ぜんぶ)だよ。。
(ザブーン)
ウー
え。、ちょっと待って。
ホホホホホホ 汚(きたな)いね。
笑(わら)い事(こと)ではありません。
あの子(こ)どうするかね。
ほう、足(た)し湯(ゆ)をする氣(き)だよ。
ああ、汚(きたな)い手(て)で壁(かべ)に觸(さわ)りおって。
フン。
ん。千に新(あたら)しい札(ふた)をあげたのかい。
まさか そんなもったいない…
ああ、あんな高價(こうか)な藥湯(くすりゆ)を。
あっ。
セーン。千どこだ。。
リンさん。
大丈夫か。
カマジイにありったけのお湯(ゆ)を出(だ)すように
賴(たの)んできた。
最高(さいこう)の藥湯(くすりゆ)おごってくれるって。
ありがとう。
1あの、ここにトゲみたいのが刺(さ)さってるの。
トゲ。 トゲだって。
ウーン 下に人数(にんずう)を集(あつ)めな。
ヘッ。
急(いそ)ぎな。
千とリン、そのお方(かた)はオクサレ神(かみ)ではないぞ。
このロ-プをお使(つか)い。
はい。
よっと
しっかり持(も)ってろ。
はい。
ぐずぐずするんじゃないよ。
女(おん)も力(ちから)を合(あ)わせるんだ。
結(むす)びました。
んー。 湯屋(ゆや)一同(いちどう)、心をそろえて
ひけやー それっ。
そおーれっ
そおーれっ
そおーれっ
そおーれっ
アッ。
字電車(じでんしゃ)。
やはり。さあ引(ひ)くんだよ。
そーれ
ワアー。
アー
セーン。 だいじょぶか。
よきくな
はっ…
ん… ムムッ。
砂金(さきん)だ。
こらーっ 会社のものだ。 勝手(かって)にとるな
靜(しず)かにおし。
お客(ぎゃく)さまがまだおいでなんだよ。
千。お客さまの邪魔(じゃま)だ、そこを下(お)りな。
大戸(おおと)を開(あ)けな。お帰りだ。
アッハハハハ…
ヤンヤー
ヤンヤー
千 よくやったね 大儲(もう)けだよ
ありゃあ 名(な)のある河(かわ)の主(ぬし)だよ。
みんなも千を見習(みなら)いな。
今日(きょう)は一本(いっぽん)付(つ)けるからね。
さあ 拾(ひろ)った 砂金(しゃきん)を全部(ぜんぶ)出(で)しな。
そりゃ ひでえや
ケチー
食(く)う。 かっぱらって来(き)た。
ありがとう。
ハク、いなかったね。
またハクかよ。
あいつ時時(ときとき)いなくなるんだよ。
うわさじゃさ、湯バーバにやばいことやらされてんだって。
そう…
リン、消(け)すよ。
ああ。
町(まち)がある 海(うみ)みたい。
あたりまえじゃん、
雨(あめ)が降(ふ)りゃ海(うみ)くらいできるよ。
おれ いつかあの町(まち)に行(い)くんだ。
こんな所(とこ)絶対(ぜったい)にやめてやる。
ウン。 どうしたん。
ウン。 砂金(しゃきん)だ。 あっ。
おぬし 何者(なにもの)だ。 客人(きゃくじん)ではないな。
そこに入ってはいけないのだぞ。
オッ。 金(きん)だ 金だ。 こ、これ わしにくれるのか。
ア… ア… ア…
キ… 金を出(だ)せるのか。
ア… ア…
ううっ… くれ
誰(だれ)ぞ そこにおるのか。
消灯時間(しょうとうじかん)はとうに過(す)ぎたぞ。
兄役(あにやく)どの、オレは腹(はら)が減(へ)った。
腹(はら)ぺこだ。
そ、その声(こえ)は。
前金(まえきん)だ、とれ・ 受(う)け取(と)れ
わしは客(ぎゃく)だぞ、風呂(ふろ)にも入(はい)るぞ。
みんなを起(お)こせ。
お父さん お母さん、
河(かわ)の神樣(かみさま)からもらったお團子(だんご)だよ。
これを食(た)べれば人間(にんげん)に戻れるよ、 きっと。
お父さん お母さん どこ。
おとうさ-ん…
ハッ。 やな夢(ゆめ)。
リン。 誰(たれ)もいない
あっ、本当(ほんとう)に海(うみ)になってる。
ここからお父さんたちのとこ見(み)えるんだ。
カマジイがもう火(ひ)を焚(た)いてる。
そんなに寢(ね)ちゃったのかな…
お客さまがお待(ま)ちだ、
もっと早(はや)くできんのか。 そこ。
あまりものでも何てもいい
どんどんお 出(だ)ししろ。
セーン。
リンさん
今(いま)起(お)こしに行(い)こうと思(おも)ったんだ。見(み)な。
本物(ほんもの)の金(きん)だ、もらったんだ。
すげえ氣前(きまえ)のいい客が來たんだ。
こちらへ こちらへ 今ひとまき
おれは腹(はら)ぺこだ。全部持(も)ってこい。
そのお客さんて…
千も來い。湯バーバまだ寢てるからチャンスだぞ。
私 カマジイのとこへ行(い)かなきゃ。
今 カマジイのとこ行かない方(ほう)がいいぞ、
たたき起こされて ものすごく不機嫌(ふきげん)だから。
リン、もう一回(いっかい)行こう。
ああ。
おとうさんとおかあさん、
分(わ)からなかったらどうしよう。
おとうさんあんまり太(ふと)ってたらやだなあ。
ん。 あっ。
橋(はし)のとこで見(み)竜(りゅう)だ。
こっちへ來(く)る。
なんだろう、鳥(とり)じゃない。
ハクー、しっかりーっ。
こっちよー
ハク。
ハクー。
ヒャー。
あ… ただの紙(かみ)だ…
ハクね。 ハクでしょう。
けがしてるの。
あの紙の鳥(とり)は行ってしまったよ。
もう大丈夫だよ。
キャッ。
湯バーバのとこへ行くんだ。
どうしよう。 ハクが死んじゃう。
さあてもこの世(よ)に極(き)まれる
お大尽(だいじん)さまのおなりだよ それ
いらっしゃいませ。
それおねだり あっ、おねだり それっ。
お大尽さま。 お大尽さま。
来(く)るよ
今度(こんど)こそもらわなきゃ
いくらでも手がらわくんだって
お大尽さまー こちらへもひとまきー
こらっ 何をする。
上へ行くんです。
ダメダ ダメダ ん。
わっ 血(ち)だ。
どけどけ。 お客さまのお通(とお)りだ。
あの時はありがとうございます。
何をしてる、はよ… ウッ
ア… ア… ア…
ア… ア… ア…
欲(ほ)しくない。いらない。
私 忙(いそが)しいので、失礼(しつれい)します。
ワーッ。
ええい 靜(しず)まれ 靜 まらんか。
下(さ)がれ下がれ。
これは、とんだご無礼(ぶれい)を致(いた)しました。
なにぶん 新米(しんまい)の人間(にんげん)の小娘でございまして、
お前、何故(なぜ)笑う。 笑ったな。
めっそうもない。 アァッ。
ギャー
くつだ。
湯バーバ。
はい
そいつの正体(しょうたい)はカオナシだよ。
そう、カオナシ。
欲(よく)にかられて とんでもない客を
引き入れたもんだよ。
あたしが行くまで
余計(よけい)なことをすんじゃないよ。
(電話の音)
あーあ
敷物(しきもの)よごしちまって
お前達(まえたち)、ハクを片(かた)づけな。
えっ。
もうその子(こ)は使(つか)い物にならないよ。
あっ。
バァ…
ンン…
もう 坊(ぼう)はまたベッドで寢(ね)ないで…
アアア… アアア
ああ ごめん ごめん、
いい子(こ)でおネンネしてたのにね。
バーバはまだお仕事があるの、
(キスの音)
いい子(こ)でおネンネしててね
あっ
ウッー 痛(いた)い 離(はな)して。
あ… 助(だす)けてくれてありがとう、
私 急(いそ)いで行(い)かなくちゃならないの、
離(はな)してくれる。
おまえ病氣(びょうき)うつしにきたんだな。
え。
おんもには悪い(わるい)バイキンしかいないんだぞ。
私、人間(にんげん)よ。この世界(せかい)じゃ、
ちょっと珍(めずら)しいかもしれないけど。
おんもはからだに悪いんだぞ。
ここにいて坊とお遊び(あそび)しろ。
あなた病氣(びょうき)なの。
おんもにいくと、
病氣になるからここにいるんだ。
こんなとこにいた方(ほう)が病氣になるよ。
あのね、
私のとても大切(たいせつ)な人が大(おお)けがしてるの。
だからすぐ行(い)かなきゃならないの。
お願い、手を離(はな)して。
行ったら泣(な)いちゃうぞ
坊(ぼう)が泣いたらすぐバーバが来て
お前なんか殺(ころ)しちゃうぞ。
こんな手すぐおっちゃうぞ。
痛い たい。
ね あとで戻って来て遊(あそ)んであげるから
だめ いま遊ぶの
ん。
血(ち)。 わかる。 血。
フギャー
ギャアー
オイ。
ハクーッ。
何するの あっち行(い)って
ハク。 ハクね しっかりして
静(しず)かにして。 ハク。
ギャー ギャー
あっち行って
あっ ダメーッ
血なんかへいきだぞ
遊ばないと泣いちゃうぞ
待って ね いい子だから
坊と遊ばないと泣いちゃうぞ
お願い 待って。
うるさいねえ
静(しず)かにしておくれ
あんたはちょっと太り過(す)ぎね。
やっぱりちょっと透(す)けるわね。
バーバ
やれやれ。お母さんとあたしの区別(くべつ)もつかないのかい。
その方が少(すこ)しは動(はたら)きやすいだろ。
さーてと… お前たちは何かいいかね
フフフ…
このことはないしょだよ
誰(だれ)かにしゃべるとお前の口(くち)が裂(さ)けるからね。
あなたは誰。
湯バーバの雙子(ふたご)の姉(あね)さ。
お前さんのおかげで、
ここを見物(けんぶつ)できて面白(おもしろ)かったよ。
さあ その竜(りゅう)を渡(わた)しな。
ハクをどうするの。 ひどいケガなの。
そいつは妹(いもうと)の手先(てさき)のドロボー竜(りゅう)だよ。
私の所(ところ)から大事(だいじ)なハンコを盜(ぬす)み出(だ)した。
ハクがそんなことするバズない。 優(やさ)しい人だもん。
竜(りゅう)はみんな優(やさ)しいよ。
優しくて愚(おろ)かだ。
魔法(まほう)の力(ちから)を手(て)に入れようとして、
妹(いもうと)の弟子(でし)になるなんてね。
この若者(わかもの)は欲深(よくぶか)の妹(いもうと)の言いなりだ。
さあ そこをどきな。
どのみちこの竜はもう助(たす)からないよ。
ハンコには守(まも)りのまじないが、
掛(か)けてあるからね、
盜(ぬす)んだ者(もの)が死(し)ぬようにと
イヤッ だめッ
(ドーン)
(ドーン ドーン)
なんだろうね、この連中(れんちゅう)は。
これっ おやめ 部屋(へや)にお戻りな。
あらあら 油斷(ゆだん)したねぇ。
ハクーッ、あっ、だめ キャアアーッ
ハクーッ
なにごとじゃい。
あ 待(ま)ちなさい。
ハク。
ググッ
苦(くる)しいの。
こりゃー、いかん。
ハク しっかり。
どうしよう、ハクが死(し)んじゃう。
身体(からだ)の中(なか)で何(なに)かが命(いのち)を食(く)い荒(あ)らしとる。
体の中(なか)。
強(つよ)い魔法(まほう)だ、わしにはどうにもならん
ハク、これ河(かわ)の神樣(かみさま)がくれたお團子(だんご)。
效(き)くかもしれない、 食(た)べて。
ハク、口(くち)を開(あ)けて。
ハク、お願(ねが)い、食(た)べて。
ほら、平氣(へいき)だよ。
そりゃあ、苦團子(にがたんご)か。
あけて いい子だから…
大丈夫。飮(の)み込(こ)んで。
出(で)たっ、こいつだ。
あっ。
ハンコ。
逃(に)げた。 あっち。 あっち。 あっち。
ウワッ あっ、あっ。
キイキイキイ
縁(えん)がちょ、千 え-んがちょ。
切(き)った。
おじさんこれ、湯バーバのお姉(ねえ) さんのハンコなの。
錢婆(ぜにーば)の。 魔女(まじょ)の契約(けいやく)印(いん)か。
そりゃ また、えらいものを…
ああ…、やっぱりハクだ。
おじさん、ハクよ。
オウ オウ
ハク。 ハク。 ハク。
おじさん、ハク 息(いき)してない。
まだしとるがな。
魔法の傷(きず)は油斷(ゆだん)できんが…
これで少(すこ)しは落(お)ち着(つ)くといいんだが…
ハクはな、
千と同(おな)じ様(よう)に突然(とつぜん)ここにやって来(き)てな。
魔法使(まほうつか)いになりたいと言いおった。
わしは反対(はんたい)したんだ、
魔女(まじょ)の弟子(でし)なんぞ
ロクな事(こと)はないってな。
聞(き)かないんだよ。
もう歸(かえ)る所(ところ)はないと、
とうとう 湯バーバの弟子(でし)になっちまった。
その内(うち) どんどん顔色(かおいろ)が惡(わる)くなるし、
目(め)つきばかりきつくなってな
カマジイさん、私 これ、
湯バーバのお姉(ねえ)さんに返(かえ)してくる。
返して、謝(あやま)って、
ハクを助(たす)けてくれるよう賴(たの)んでみる。
お姉さんのいる所(ところ)を敎(おし)えて。
ゼニーバの所(ところ)へか。
あの魔女はコワイぞ。
お願い。
ハクは私を助けてくれたの。
私、ハクを助けたい。
うーん 行くにはな、
行けるだろうが、帰りがな…。
待(ま)ちなさい。
たしか… と ここだったか…
みんな、私の靴(くつ)と服(ふく)、お願いね。
千。ずいぶん捜(さが)したんだぞ。
ん。
リンさん。
ハクじゃん なんかあったのか ここ。
なんだ そいつら。
新しい友達なの。ねっ。
湯バーバがカンカンになって、
お前のこと捜(さが)してるぞ。
氣前(きまえ)がいいと思ってた客が
カオナシって化物(ばけもの)だったんだよ。
湯バーバは千が引(ひ)き入(い)れたって言うんだ。
あ そうかもしれない。
エエッ。 ほんとかよ。
だってお客さんだと思(おも)ったから…
どうすんだよ、
あいつ もう三人(さんにん)も 飲(の)んじゃったんだぞ。
あった これだ。 千 あったぞ。
じいさん 今(いま) 忙(いそが)しいんだよ。
これが使(つか)える。
電車(でんしゃ)の切符(きっぷ)じゃん、
どこで手(で)に入(い)れたの こんなの。
四十年前(よんじゅうねんまえ)の使い殘り(つかいのこり)だ。
いいか、電車で六つ目(むつめ)の
沼(ぬま)の底(そこ)という驛(えき)だ。
沼の底。
そうだ。 とにかく六つ目だ。
六つ目ね。
間違(まちが)えるなよ。
昔(むかし)は 戻りの電車があったんだが、
近頃(ちかごろ)は行きっぱなしだ。
それでも行くかだ。
うん、帰りは線路(せんろ)を歩(ある)いて来(く)るからいい。
湯バーバはどうするんだよ。
これから行く。
ハク、きっと戻って来るから、
死(し)んじゃだめだよ。
何がどうしたの。
わからんか。愛(あい)だ、愛。
ますます大(おお)きくなってるよ。
ヤダ
あたい食(く)われたくない。
來たよ。
千か、よかった、
湯バーバ樣では
もう抑(おさ)えられんのだ。
オホホホホホホホホ
なにもそんなな暴(あば)れなくても、
千は來ますよ。
千はどこだ。 千を出せ。
さあ、急(いそ)げ。
湯バーバ樣、千です。
遲(おそ)い。
お客さま、千が來ましたよ。
ほんのちょっとお待ち下さいね。
ウーッ。
何をぐずぐずしてたんだい。
このままじゃ大損(おおぞん)だ。
あいつを煽(おだて)て、
しぼるだけ金を絞(しぼ)り出(で)させ。
チュウ
なんだい。このきたないねずみは。
えっ。
あの… ご存(ぞん)じないですか。
知(し)るわけないだろう。 おー いやだ。
さあ 行きな。
ごゆっくり。
千、ひとりで大丈夫でしょうか。
お前が代(か)わるかい。
フン
これ食うか。 うまいぞー。
金(きん)を出(だ)そうか…
千の他(ほか)には
出してやらないことにしたんだ。
こっちへおいで。
千は何がほしいんだ。 言ってごらん。
あなたはどこから來たの。
私すぐ行かなきゃならないとこがあるの。
ウゥッ…
あなたは來た所へ帰った方がいいよ。
私が欲しいものは、
あなたには絶対(ぜったい)出せない。
お家(うち)はどこなの。
お父さんやお母さんいるんでしょう。
イヤダ… イヤダ…
さみしい さみしい…
お家(うち)がわからないの。
千欲(ほ)しい 千欲しい…
欲しがれ。
私を食(た)べる氣。
それ 取(と)れっ
取れ
チュッ。
私を食べるなら、その前(まえ)にこれを食(た)べて。
本當(ほんとう)はお父さんとお母さんに、
あげたかったんだけど、あげるね。
ウッ ウッ…
センー
小娘(こむすめ)が、何(なに)を食(く)わしたー
みんな お退(ど)き。
お客さまとて許(ゆる)せぬ。
ウアッ
こっちだよー
こっち。
ゆろせん。
せーン。 こっちだー
来た。 こっちだよー。
呼んでどうすんだよ
あの人、湯屋(ゆや)にいるからいけないの。
あそこを出た方がいいんだよ。
だってどこ連(つ)れてくんだよ。
わかんないけど。
わかんないって…
あーあ ついて来るぞ あいつ
ウー ゲボッ
ん。
ここから歩(ある)け。
うん。
驛は行(い)けば分かるって。
ありがとう。
必(かなら)ず戻って來(こ)いよ。
うん。
セーン。
お前の事(こと)どんくさいって言ったけど、
取り消(とりけ)すぞー。
カオナシー
千に何(なに)かしたら 許(ゆる)さないからな。
あれだ。
電車が來た。来(く)るよっ。
あの、沼(ぬま)の底(そこ)までお願(ねが)いします。
えっ。
あなたも乘(の)りたいの。
ア… ア…
あの、この人(ひと)もお願(ねが)いします。
ア… ア…
おいで。 おとなしくしててね。
(カマジイのいびき)
おじいさん。
ん… うーん…
おっ ハク、気(き)が付(つ)いたか。
おじいさん、千(せん)はどこです。
何(なに)があったのでしょう、敎(おし)えて下さい。
お前、何も覚(おぼ)えてないのか。
切(き)れ切(ぎ)れにしか思(おも)い出(だ)せません。
闇(やみ)の中(なか)で千尋(ちひろ)が何度(なんど)も私(わたし)を呼(よ)びました、
その声(こえ)を頼り(たより)にもがいて、気(き)が付(つ)いたら、
ここに寢(ね)ていました。
そうか、千尋か。
あの子(こ)は千尋というのか。
いいなあ、愛(あい)の力(ちから)だな
これっぱかしの金(きん)で、
どう埋(う)め合(あ)わせするのさ。
千のバカが、
せっかくの儲け(もうけ)をフイにしちまって…
で でも
千のおかげでおれたち助(たす)かったんです。
おだまり。
みんな自分(じぶん)でまいた種(たね)じゃないか。
それなのに勝手(かって)に逃(に)げ出(だ)したんだよ。
あの子(こ)は自分(じぶん)の親(おや)を見捨(みすて)てたんだ。
親豚(おやにく)は食(た)べ頃(ころ)だろ。
ベーコンにでもハムにでもしちまいな。
お待(ま)ち下(くだ)さい。
ハク樣。
なーんだい おまえ生(い)きてたのかい。
まだ 分(わ)かりませんか。
大切(たいせつ)のがすり替(か)わったのに
ずいぶん生意氣(なまいき)な口(くち)を利(き)くね。
いつからそんなにエラくなったんだい。
オイ オイ オイ
坊(ぼう)…
ああ。 ンギャー
坊…。
土くれだ。
坊…。
どこにいるの 坊。
出(で)て来(き)ておくれ、
坊。
坊、坊
おのれ…
言え…
あたしの坊をどこへやった…
ゼニーバの所です。
ゼニーバ。
ああ…
なるほどね 性悪(しょうわる)女め
それであたしに勝(か)ったつもりかい。
ヒヒヒ…
で どうするんだい
坊(ぼう)を連(つ)れ戻して来(き)ます。
その代(か)わり、千(せん)と兩親(りょうしん)を、
人間(にんげん)の世界(せかい)へ戻してやって下さい。
それでお前はどうなるんだい
その後(あと)私に八(やつ)裂(ざ)きにされてもいいんかい
(電車が近づく音)
この驛(えき)でいいんだよね。
行(い)こう。
ハァハァハァハァー
肩(かた)に乘(の)っていいよ。
ん。
あっ。
お入(はい)り
失礼(しつれい)します。
入(はい)るならさっさとお入り。
おいで。
みんなよく來(き)たね。
あ あの…
まあ お座(すわ)り。
今(いま) お茶(ちゃ)を入(い)れるからね。
ゼニーバさん、これハクが盜(ぬす)んだものです。
お返(かえ)しに來(き)ました。
お前、これがなんだか知(し)ってるかい。
いえ。でも、とっても大事(だいじ)なものだって。
ハクの代(か)わりに謝(あやま)りに來(き)ました。
ごめんなさい。
お前これを持(も)ってて何(なん)ともなかったかい。
エ…。
あれ。守(まも)りのまじないが消(き)えてるね。
すいません。
あのハンコについてた変(へん)な虫(むし)、
あたしが踏(ふ)みつぶしちゃいました。
踏(ふ)みつぶした。 アハハハハハハ
あんたその虫(むし)はね、
妹(いもうと)が弟子(でし)を操(あやつ)るために、
竜(りゅう)の腹(はら)に忍(しの)びこませた虫(むし)だよ。
踏(ふ)みつぶした。 アハハハハハ…
さあ お座(すわ)り。
お前はカオナシだね。お前もお座(すわ)りな。
あ、あの…
この人達(ひとたち)を元(もと)に戻してあげて下さい。
おや。 あんた達
魔法(まほう)はとっくに切(き)れてるだろ。
戻りたかったら戻りな。
あたし達二人(ふたり)で一人前(ひとりまえ)なのに、
氣(き)が合(あ)わなくてね。
ほら、あの人(ひと) ハイカラではないでしょ。
魔女(まじょ)の双子(ふたこ)なんて厄介(やっかい)の元(もと)ね。
お前を助(たす)けてあげたいけど、
あたしにはどうすることも出來(でき)ないよ。
この世界(せかい)の決(き)まりだからね。
両親(りょうしん)のことも、ボ-イフレンドの竜(りゅう)のことも、
自分(じぶん)でやるしかない。
でも、あの、ヒントか何かかもらえませんか。
ハクと私、ずっと前に会(あ)ったことが
あるみたいなんです。
じゃ話(はなし)は早(はや)いよ。
一度(いちど)あったことは忘(わす)れないものさ
思い(おも)い出(だ)せないだけで。
ま、今夜(こんや)は遲(おそ)いから、ゆっくりしていきな。
お前達手伝(てつ)ってくれるかい。
ハハハハハハ
ほれ、 頑張って(がんばって)。
そうそう、うまいじゃないか。
ほんとに助(たす)かるよ。
魔法(まほう)で作ったんじゃ
何(なん)にもならないからね。
そこをくぐらせて そう、二回(にかい)續(つづ)けるの。
おばあちゃん、やっぱり帰る。
だって、こうしてる間(あいだ)に、
ハクが死(し)んじゃうかもしれない。
お父(とう)さんやお母(かあ)さんが、
食(た)べられちゃうかもしれない。
まあ、もうちょっとお待(ま)ち。
さあ、出来たよ。
髮留(かみと)めにお使(つか)い。
わあ きれい…
お守(まも)り…
みんなで紡(つむ)いだ糸(いと)を、
編(あ)み込(こ)んであるからね。
ありがとう。
(風で窓がゆれる音)
いい時(とき)に來(き)たね。
お客(きゃく)さんだよ、出(で)ておくれ。
はい。
ああっ。
ハク。
ハク、ああ よかった
ケガは。 もう大丈夫なの。
よかった。
フフフ グッド タイミングね。
おばあちゃん、ハク生(い)きてた
ハク竜、あなたのしたことは もう咎(とが)めません。
そのかわり、その子(こ)をしっかり守(まも)るんだよ。
さあ坊(ぼう)やたち、お帰りの時間(じかん)だよ。
また遊(あそ)びにおいで。
チュッ
お前はここにいな。
あたしの手助(てたす)けをしておくれ。
ア… ア…
おばあちゃん。
ありがとう、私 行くね。
大丈夫 あんたならやり遂(と)げるよ。
私の本当(ほんとう)の名前(なまえ)は、千尋っていうんです。
ちひろ。いい名(な)だね。
自分(じぶん)の名前を大事(だいじ)にね。
はい。
さ、お行き。
うん。
おばあちゃん、ありがとう さようなら
(ザブーン)
ハク、聞(き)いて。
お母さんから聞(き)いたんで
自分(じぶん)では覚(おぼ)えてなかったんだけど、
私、小さい時 川(かわ)に落(お)ちたことがあるの。
その川(かわ)はもうマンションになって、
埋(う)められちゃったんだって。
でも今(いま)思(おも)い出(だ)したの。
その川(かわ)の名(な)は…
その川(かわ)はね、コハク川。
あなたの本当(ほんとう)の名(な)は、
コハク川
あーっ。
千尋、ありがとう。私の本當(ほんとう)の名(な)は、
ニギハヤミ コハクヌシだ。
ニギハヤミ。
ニギハヤミ、コハクヌシ。
すごい名前(なまえ)。神樣(かみさま)みたい。
私も思(おも)いだした。
千尋が私の中(なか)に落(お)ちた時のことを、
靴(くつ)を拾(ひろ)おうとしたんだよ。
そう コハクが私を淺瀨(あさせ)に運(はこ)んでくれたのね。
嬉(うれ)しい…
帰って来(き)た。
坊は連(つ)れて戻って来(き)たんだろうね。
ヒッ
バーバ
坊ー。 ケガはなかったかい
ひどい目(め)にあったね うん。
坊 あなた一人(ひとり)で立(だ)てるようになったの。
湯バーバ樣(ゆばばさま)、約束(やくそく)です
千尋と両親(りょうしん)を人間(にんげん)の世界(せかい)に戻して下さい。
フン そう簡単(かんたん)にはいかないよ、
世(よ)の中(なか)にはキマリと言(い)う物があるんだ。
ブーッ。
うるさいよ
バーバのケチ もうやめなよ。
とても面白(おもしろ)かったよ、坊(ぼう)。
へっ…
で でもさ これはキマリなんだよ
じゃないと呪(のろ)いが解(と)けないんだよ
千を泣(な)かしたら
バーバ キライになっちゃうからね。
そ、そんな…
おばあちゃん
今、そっちへ行(い)きます。
おきてのことは ハクから聞(き)きました。
フン、いい覚悟(かくご)だ。
これはお前の契約書(けいやくしょ)だよ、こっちへおいで。
坊、すぐ終(お)わるからね。
大丈夫よ。
この中(なか)から おまえの
お父さんとお母さんを見(み)つけな。
チャンスは一回(いっかい)だ。
ピタリと当(あ)てられたら お前達は自由(じゆう)だよ。
(ブヒ ブヒ ブヒ…)
ん。 おばあちゃん だめ、
ここにはお父さんもお母さんもいないもん。
いない。 それがお前の答(こた)えかい。
うん
ヒッ
大当(おおあた)りーっ
ヨーシ。 ヤッター
みんな ありがとう
行(い)きな お前の勝(か)ちだ
早(はや)く行(い)っちまいな
お世話(せわ)になりました
フン
さようなら。
ありがとう
またねー
ハク
行こう。
お父さんとお母さんは。
先(さき)に行ってる
水(みず)がない。
私はこの先には行けない。
千尋は元(もと)來(き)た道(みち)をたどればいいんだ。
でも 決して振(ふ)り向(む)いちゃいけないよ、
トンネルを出るまではね。
ハクは。 ハクはどうするの。
私は湯バーバと話(はなし)をつけて弟子をやめる。
平氣(へいき)さ、本当(ほんと)の名を取(と)り戻したから
元の世界(せかい)に私も戻るよ。
またどこかで会(あ)える。
ウン、きっと。
きっとよ。
きっと さあ行きな 振(ふ)り向(む)かないで。
千尋。
なにしてんの、早く來(き)なさい
あっ…
お母さん、お父さん。
だめじゃない、急(きゅう)にいなくなっちゃ。
行くよ。
お母さん、何(なん)ともないの。
ええ。
引っ越(ひっこ)しのトラック、
もうついちゃってるわよ。
千尋ー 早くおいで。
足元(あしもと) 氣(き)をつけな。
千尋、そんなにくっつかないでよ。
歩きにくいわ。
出口(でぐち)だよ。
あれ。
なあに。
わあ 中(なか)も埃(ほこり)だらけだ
いたずら。
かなあ。
だから やだって言ったのよ。
(エンジンの音)
オ-ライ オ-ライ、平氣(へいき)よ。
千尋、行くよ
千尋 早くしなさい。
『いつも何度(なんど)でも』
呼(よ)んでいる 胸(むね)のどこか奧(おく)で
いつも心(こころ)踊(おど)る 夢(ゆめ)を見(み)たい
かなしみは数(かぞ)えきれないけれど
その向(む)こうで, きっと あなたに会(あ)える
繰(く)り返(かえ)すあやまちの そのたび ひとは
ただ靑(あお)い空(そら)の 靑(あお)さを知(し)る
果(は)てしなく 道(みち)は續(つづ)いて見(み)えるけれど
この両手(りょうて)は 光(ひかり)を抱(いだ)ける
さよならのときの 靜(しず)かな胸(むね)
ゼロになるからだが 耳(みみ)をすませる
生(い)きている不思議(ふしぎ) 死(し)んでいく不思議
花(はな)も風(かぜ)も街(まち)も みんなおなじ
ララララ…
呼(よ)んでいる 胸(むね)のどこか奧(おく)で
いつも何度(なんど)でも 夢(ゆめ)を描(えが)こう
かなしみの數(かず)を 言い盡(ず)くすより
同(おな)じくちびるで そっとうたおう
閉(と)じていく思(おも)い出(で)の そのなかにいつも
忘(わす)れたくない ささやきを聞(き)く
こなごなに碎(くだ)かれた 鏡(かがみ)の上(うえ)にも
新(あたら)しい景色(けしき)が 映(うつ)される
はじまりの朝(あさ)の 靜(しず)かな窓(まど)
ゼロになるからだ 充(み)たされてゆけ
海(うみ)の彼方(かなた)には もう探さない
輝(かがや)くものは いつもここに
わたしのなかに 見つけられたから
ララララ…
-終(お)わり-
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